FILE.3 『かわいいとは何かを見つける旅。』カブ日本一周むこ
こんにちは!ごやです!
まずはじめに。
今回の記事、結構…いやかなり長いです。サクっと読める感じではないので悪しからず(^^;
いつも旅人さんに1~2時間くらいお話しを聞いてそれを書いていて、話の内容をまとめながら簡潔に書くよりも語り手の言葉遣いだったり語り手の人柄が伝わり語り手と直接会話してるように感じられるブログにしていきたいと思っています。自分がブログ機能を使いこなせてない事も含めて見づらさがあると思いますが…ガンバリマース!ヽ(´▽`)ノ
今回のインタビューはカブで日本一周中のむこさん
こちらからアポとって(いつもですが)兵庫県へ会いに行ってきました!
待ち合わせ場所にやって来たカブがこれ!
どーん!
めっちゃかわいい。笑
ーはじめまして!よろしくお願いします!
むこ:よろしくお願いしまーす!
ーそれでは早速、なぜ旅を始めようと思ったのかきっかけ等はありますか?
むこ:真面目な理由は、社会人になった時に東京から単身で愛知県に引っ越して働きはじめて、知り合いがいない土地で暮らしていくのも色々面白いからその生活を気に入ってたというのがあったんですがふと愛知県がこんなに面白いんだったら他の県はどうなんだろうという興味がなんとなく湧いてきたというので。あと仕事をやめて別の事をしたくなったというのもあり。
職業がデザイナーの仕事をしている関係で自分が作った商品を物凄い不特定多数の人が全国で使ってる状況になって商品が自分の知らない所で一人歩きする状況になり、それを社会人になって物を作るようになって初めて経験して「日本はこういう地域があってこういう町があって、だからこういう物が使われてるんだ」という買われた経緯を納得したいという気持ちもあって。
自分が知らない土地で生活している人達の全ては見られないけど暮らしだったり地域の文化だったりを知る事ができたら、これからも私はデザインの仕事は続けようと思っているので直接何かに役立つ事はないかもしれないけど自分がその土地に行った経験が何かしらの形で今後の仕事に役に立つだろうなって。
むこ:仕事の役に立つだろうという気持ちは結構強いと思います。行く場所も観光地というよりかは、なるべくやるようにしているのは全ての県の県庁所在地のある駅に行くようにしていて。だいたいその県の一番栄えている駅が県庁にあるので、そこに行くとその県がどんな県なのかだいたいわかる。おもいっきし外からの観光客のために栄えた町なのか、地元の人が暮らしやすくするために発展した町なのか、完全に観光は捨てて働きにくる人のための町なのか。とかでその町の在り方とか結構わかるから楽しい。
各町の駅に立ち寄っては路線図や時刻表を確認し行き交う人々を人間観察。その地の人々の生活を想像する
ーちゃんとした目的を持った旅をしているんですね。
むこ:そう。私かなり目的が明確だと思います。楽しいからとかじゃない感じです。元々やるからにはただ回るだけじゃ意味ないなっていうのはもう考えついた時点では思っていて。ただ漠然と日本一周したいとかは無かったですね。
ー真面目じゃない方の理由は?
むこ:真面目じゃない理由は私が小さい頃から『ポケモン』と『ハチミツとクローバー』が大好きで。まぁ~それはそれは好きで(笑)。旅するキャラクターや旅する話しに憧れと興味があって、やるなら今だっていうのもあり。
海外旅行1ヵ月行くのと同じくらいの感覚で日本一周を捉えていたので。予算計算したら同じだったという。自分が出せるお金の積み立てで行きたい海外の国の1ヶ月と日本一周が同じ金額だったので、まぁ海外旅行はいつでも行く機会があるだろうから今やるならこっちだろうという事で。あっ、もともと皆みたいにバイクで走り回りたいってタイプではないです。
今回むこさんが訪れたのは兵庫県西宮にあるライダーズカフェ『インザシー』さん
ーなぜ『カブ』で旅しようと?
むこ:元から持ってたというのが一番で。愛知に独り暮らしするときに、交通の足がなんかないと生活できないよと会社から言われて。で、じゃあ原付買うかみたいな感じになって。
元々自分が工業デザイン系の出身だったから、乗らないけれど見た目的にバイクとかは見てて。親がバイク好きだったからよくモーターサイクルショーとかに連れていかれてて。ほんと物心着いた頃からモーターサイクルショーに連れていかれるような家庭だったんですよ(笑)。
ーバイクとはたくさん接していたんですね。
むこ:全然好きじゃなかったですけれどね。つまらねーっと思いながらちっちゃい時は行ってて(笑)。改めてデザイン学生になって、いち工業製品として見ているうちに一番興味を持っていたのがカブ。あと『水曜どうでしょう。』が好きだったっていうのと、あとは単純にカブは買う時も他のスクーターよりも安く手に入るとかかなり合理的な方面で買って、そのままそれ乗ってたから都合が良さそうだなと思って。
カブで日本一周してる人いるのかなと調べたらめっちゃいたから「大丈夫だ」となり。そこから旅仕様にするために、町乗りしてた時からいっぱい改造したけど…。だからおのずとカブだったという。
あとどれが一番安く回れるか計算しました。排気量を上げて新しいバイク買っていくかとか。まぁ自転車と徒歩はまずないけど一応計算して。で、車も計算して単純にカブが一番安かったから。
大勢の株主(←カブオーナー)とカブがむこさんをお出迎え
メカニックさんがカブの状態チェック。日本一周中のカブを整備してもらった
試走し愛車の『カブたん』の調子も復活。普段は500km毎にチェーンの張り確認&調整など自分でメンテできるところは自ら行う
ーちなみにリッター何キロくらいで?
むこ:今までの最高は70で一番悪くて40で平均は55くらいて感じです。めっちゃ燃費いいですねー。自転車は燃料代かからないけど日数かかる分、自分が食べる分、そこを考えたらカブが一番安いじゃんていう。
あと性格的にダラダラ長くやってると私の場合は途中でだらけるか社会復帰できなくなる可能性があると思ったので(笑)。4ヵ月半と決めたのは自分のお金の積み立てもあったけど暖かくなる頃に出発して年を越す前には余裕で帰ってきて、理想は年内には就職はしてなくてもいいけど就職する準備を終えていたいっていう。デザイナーの就職活動は自分が作ってきた作品を纏めるポートフォリオっていうのがあるんですけど自分が作ってきた商品とかアイデアを纏めた物を履歴書と一緒に持ってって面接するんで。それを纏める時間は欲しい。旅をした事も含めて。なんならこの旅すら私は就職活動に使うつもりでやってるので。
ーどのような商品を作っていたんですか?
むこ:私、ベビー用品のブランドの会社に勤めていて。もともとデザイナーになって作りたいものっていうのがまず、量産品である事と不特定多数の人が使うものというのとかわいいものが作りたいっていう。
『かわいいものを作りたい』それが一番大きいんですけど、かわいいものってかなり漠然としていて難しいから私は隠れテーマとして『かわいいとはなにか』というのをこの日本一周中に考えるという自分への宿題みたいな感じで、何もない真っ直ぐな道とか走ってる時にボーッと考えながら走ってるんですけど(笑)。
答えはちゃんと見つかりつつあって、でもまだ仮定の状態なので走りながらとか道中で人に会った時とか喋ったりして結構考えが纏まりはじめているので。この旅が終わった時に私は自分がやった旅をそれこそ不特定多数の人が見られる何かの媒体に残すつもりでいるんですけど、せっかく自分がデザインの仕事をやっているので。デザインの仕事は何かを伝える仕事でもあるので。得意な分野ではないけど自分がやったこの記録を見て誰かの何かのきっかけになるような、そういう面白い媒体が作れたらいいなと思っているんですけど。その中に『かわいいとはなにか』の私なりの現時点での結果を残したい。っていう。
ーかわいいとはなにかを見つける旅。日本一周の中でそのような旅もあるんですね。
むこ:自分が乗ってるカブを可愛いって結構誰でも言ってもらえるから意外とこのカブは万人が可愛いと思える見た目をしているのかも知れないと最近思えるようになりました(笑)。あの見た目してると幼稚園児とか女子学生に声をかけられる事よくあるんですけど、かと思えば散歩してるその辺のおじいちゃんとか北海道でブイブイいわして定年後のドライブ楽しんでるハーレー乗りのおじさんとかそういう人からも可愛いと言われる事あるから。この旅の見た目はかわいいの方面でいったらあのカブは正解だったのかも、みたいな(笑)。
今のところ今の自分のスタイルで走ってる人を見た事ないから、やっといて良かったなとは思いますけど。だからかなり計画性の高い旅かもしれないです、他の人の話しを聞いてる限りだと。
ー旅で楽しかった場所や事はありますか?
むこ:それ結構難しくて、だいたいどこも楽しいから。北海道はまず楽しいじゃないですか!今まで知ってた日本じゃないみたいな。
(この辺りからトークの勢いが増してくる)
むこ:私、北海道行く事自体初めてだったんですよ。自走で行く北海道が初北海道だったからめっちゃ大冒険だったんです。毎日なにもかもが新しい事だらけだったという。北海道に入ってまぁ、バイク乗りの人いっぱいいるじゃないですか。私、北海道は1泊以外全部ライダーハウスだったんですよ。だから世の中こんな人の種類いるんだみたいな(笑)。毎日会う人新鮮で面白かったかな、人の種類的にも風景的にも両方めちゃくちゃ新鮮で楽しかった。世の中こんな事してる人いるんだとめっちゃ思わされたのが北海道。ライダーハウスのオーナーさん達も強めの個性だし(笑)。
「鹿児島県霧島の近くの道。なぜかお天気雨にしょっちゅうあうので、よく虹を見ています(笑)。」(むこ)
「京都で雑貨屋さん巡りしてた時に雑貨屋さんの紹介に紹介を繰り返して辿り着いたお店。ガラス作家さんのお店でだいすきな世界観だったところ。」(むこ)
「三重県道12号線。伊勢神宮と南伊勢町を結んでる危険そうな峠。酷道好きの人におすすめ(私は二度と行きたくないですけど、笑)」(むこ)
ーそれでは逆に旅で辛かった事とかは?
むこ:奇跡的に今のところ辛い思いした記憶はないんですよね。暑かったことくらい?みたいな。まだこれから起きる可能性は十分あるんですけど、100日超えた後の方が圧倒的に危ないと思いながら生活してるので。今のところ人生の運全部使い果たしたんじゃない?ってくらい順調なんで。この後絶対あると思うんですよね(笑)。
ー危ない目にあった事とかはありますか?
むこ:島根で当て逃げされたことくらいですかね~。
ー自分が実際旅してみて女子が旅するのは危険な事ではないと感じますか?
むこ:ないとは思うけど別におすすめもしないです。やりたかったらやればいいと思うけど是非行きなよとは絶対思わない。自分がずぼらな性格だから結構できてるんだろうなとはすごく思ってて。女の子だと1日お風呂入れないだけで嫌だとかあるから。私そこまで気にしてないので、うわぁタイミング無かった入れなかったいつ入れるんだろう、で済ましちゃうので。危険だからやめた方がいいとは思わないけど、むしろやりたいと思っているのなら、いけるよと言うけど別にすすめる程ではないかなっていう。もしもやろうか悩んでる人がいたらすすめますけどね。やろうかなと思ってるんだけどって言ってたら「楽しかったよ」ってたぶん言えると思う。
ーそういう女子に向けて何かアドバイス等はありますか?
むこ:あるかなぁ…。自分が女の子界隈を代表して言える身分じゃないしなぁ(笑)。うーん…。ないな。参考にならないです。こんな事しなくても人生を楽しくしてる女の子はごまんといるので大丈夫。って感じです。
ーおすすめの装備やこだわりの物ってありますか?これ使いやすいなって。
むこ:しいて言うなら私カブのフロントのカゴのカバー、自分の手作りなんですけどあれ意外と使いやすい。お風呂道具入ってるんですけど後ろの箱はごちゃっと物入れてるから取り出すのめんどくさかったりとか、改まって取り出す感じになるんですけどお風呂行くときってそれ1個だけ持っていけばいいから。浸水しないし。あそこに黄色を持ってきた自分を褒めてる(笑)。かわいい。色のバランスがよい。みたいな。
むこ:あと、これは私ぐらいしか得しないけど水彩色鉛筆を持ち歩いてるんですけどそれを収納するカバー、これが便利。くるくると丸めてカバンの中に入れてます。何がいいって、これ一式と紙があればだいたいどこの子供とも仲良くなれる。私、子供と仲良くなるのたぶん上手い(笑)。自分が子供好きというのも大いにあるんですけど、子供と仲良くなるとだいたい親とも仲良くなれるので、そうするとお話しが弾んでその地域の暮らしを知る事ができたりするからこれはかなり私の旅の中ではコミュニケーションをとるための重要なツール。めちゃくちゃ子供が喜びます。水彩色鉛筆を使った事ないから。一緒にお絵かきすると楽しいですよね。
旅で見つけたかわいいと思ったものや印象に残ったものを水彩色鉛筆で描く
むこ:あとはフロントバイザー付けておいて良かったとかですかね。全ての虫を弾く。虫とぶつかりたくないし痛いし向こうも死ぬし。でかい虫とかも結構な速度でぶつかるからフロントバイザーにべちゃってなるんですよ。あ、これ自分の体じゃなくて良かったーみたいな。虫めっちゃ嫌いで本当に虫と接触したくなくて。
ー虫嫌いに野宿やキャンプはキツイ(笑)。
むこ:キャンプは好きなんですけど朝起きてテントの影のところに虫のシルエットあったらテントから出られないくらいには虫嫌い。今も起きてからテントから出る前に内側から全部叩きます。バンバンバンって。
ーむこさんが旅で心掛けている事、大事にしている事、モットー等はありますか?
むこ:その地域にいる人と話す事となるべく観光地じゃない町に行く事。観光地に行く機会はこの先いくらでもあるので観光地ではない場所へ行くようにはしています。まぁ、観光地も行くんですけど。
ーむこさんが感じる『旅の魅力』とは。
むこ:精神が小学3年生くらいに戻る(笑)。精神年齢がめっちゃ下がる。こんなに現実を見ながら旅してて言うのもなんだけど。
旅してるのって他の人からしたら自発的な行為に見えるかもしれないけど実際旅をしてる最中ってめちゃくちゃ受動的な出来事の方が多い。誰かに何かをしてもらったりとか、貰ったりとか、圧倒的に多くないですか?自分で何かするよりも。
自分は移動はしてるけどそれを除いたら自分からは特に何も発動していないのに周りからは新しい情報とか刺激とかもらうっていう経験は、考えてみたら小学生くらいまでしかないんじゃないかなって。小学生くらいまでは毎日授業とか受けてるだけでも毎日新しい発見みたいな感覚で過ごしたり、友達と遊んでるだけで毎日新しい面白い事いっぱいみたいな感覚で生きてる記憶があるんですけど歳が上がるにつれてそういうのが無くなっていくけど、今またそれが起きてるなって。旅をすることによって。
だから精神年齢小学3年生に戻ってるなっていう感覚です。まさか自分が20代半ばにしてこんなに人から新しい発見もらう事あるんだって毎日思わされますね。今日も(ライダーズカフェ)かなり衝撃的だったし。
ーそれでは最後に、むこさんにとって『旅』とは。
むこ:難しいな…。旅とは…。勉強かなあ。毎日新しい何かを知る事をし続けているから私にとってこの旅はたぶん勉強にあたるのかなと思います。『日本を知る勉強』ですね。
むこさん、ありがとうございました!
ゴールの東京へラストスパート!最後まで楽しんでくださいね!
(取材日2018年9月25日)
~インタビューを終えて~
かわいいとはなにかを見つける旅。旅のかたちは人それぞれ、いろんな理由や目的があると思うけど今回は特に興味深い旅のかたちだった。むこさんはとにかく自分がかわいいと思える物をなんでも自分で作ってしまう。カブの塗装にしろカバーにしろ服にしろ(特にデパ地下でのお菓子の話しが笑えたが今回記事にあまり関係ないので割愛)。そしてかわいいとはなにかを考えながら日本各地を走り回る。女子力と生命力のハイブリッドというかそんな彼女に憧れる女子は結構いるんじゃないかと思う。そして今回のような『前進力』ある旅人と話す事ができたのは今後の自分のモチベーションになりありがたかった。かわいいとはなにか…。これを機に自分も探してみよう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!